【観た映画】橋口亮輔監督7年ぶり長編映画「恋人たち」
鑑賞日
2015/11/28/土
ちょこっと解説
今年一番と言われている邦画
橋口亮輔監督7年ぶりの長編映画
「恋人たち」
▼テアトル新宿で鑑賞
Myレビュー
声にならない声 共感できるはず
「ぐるりのこと。」の橋口亮輔監督7年ぶりにメガホンを握ったというからには劇場へ足を運ばざるを得ない。 7年のブランクの間、監督は人間不信のような状態に陥っていたという。 それでも描かなければならなかった、「声にならない声、飲み込めない悔しさを抱えている人々」の想いが本作には詰まっていた。
妻を数年前に通り魔に殺害され、保険料の支払いが滞る程心に闇を背負ってしまったアツシ。 毎日を自分に興味を持たない夫、ラップを乾かして再利用するような姑とともに淡々と過ごす瞳子。 親友に密かな恋心を抱くが、ひょんな誤解から築き上げた親友の関係危うくなってしまうゲイの弁護士、四ノ宮。 彼らは一様に悶々とした何かを心の底に閉まったまま生活を送っている。
彼らはある時決心して行動を起こし、それぞれが少しづつだけれど「もう少し、頑張るか」といった希望を見出していく姿が、愛らしかった。
少なからず誰しも、小さなことでも憤りを抱えて生活しているものだが、それを自ら打開しようと奮闘するものは数多くはない。 自分に置き換えて考えてみてもやっぱりそうだ。 それでも毎日時間は過ぎていくのだ。 自分は例えばアツシのように身内を理不尽にも亡くすといったような不幸は経験してはいないが、彼の世の中に対する憤りは共感できる。 俳優ワークショップで選ばれたというほとんど無名の主演3名を抜擢した橋口監督はやはり凄いし、今の日本を象徴するような人間たちを体現した俳優の彼らも素晴らしかった。
ただ欲を言うと主婦の瞳子不遇な状況をもう少し誇張するような筋書きでもうよかった気がする。 割と序盤から、主人には愛されてると思うな(笑)