【観た映画】黒沢清監督作品「岸辺の旅」レビュー
鑑賞日
2015/10/16/金
ちょこっと解説
「岸辺の旅」
▼ヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞
Myレビュー
遺された者、去った者それぞれの想い
第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を獲得した黒沢清監督作品。
ざっくりあらすじ。 3年前に夫、優介(浅野忠信)が失踪・死別。喪失感を抱えながら瑞希(深津絵里)は生活していた。そんなある日目の前に優介が。自分は死んだ、旅に出ようと言われるまま、瑞希は優介のこれまでの足取りを巡る旅へ出かけることに。 その旅路で初めて知る優介の人柄に触れ再び愛を強く感じていくのだが…。
ごく普通の夫婦とその周りの人々を描いているかと思えば、成仏できずにいる人々がその普通の世界で生活をしている。始めから終わりまで、非常に独特な雰囲気を纏った作品だった。 個人的に小さな食堂を営む夫婦の、村岡希美演じるフジエと亡き妹とのエピドーソがお気に入り。
遺された者たちが故人へ想いを募らせることはよくあるが、同様にこの世を去った者も現世への想いを断ち切れずにいるということが妙に新鮮で納得させられた。 生と死の空間をあやふやに表現した、光の演出が美しかった。