コーヒー好き映画人の「とうきょう 映画くらしばなし」

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【観た映画】二階堂ふみ・長谷川博己主演「この国の空」

鑑賞日

2015/08/14/金

ちょこっと解説

  • 戦争映画ではあるがこれは恋愛映画
  • 同時期公開の「日本のいちばん長い日」と一緒に見るのがオススメ

この国の空

http://www.kinenote.com/main/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=82886

解説(KINENOTEより引用)

「共食い」「ヴァイブレータ」など数々の名作の脚本を手がけてきた荒井晴彦が、「身も心も」以来となる監督を務め、芥川賞作家・高井有一が太平洋戦争末期の庶民の暮らしを繊細かつ大胆に描いた小説を映画化。日に日に戦況が悪化し不安な思いが去来する中、東京から妻子を疎開させた一人暮らしの隣人の世話をする少女が次第に女に目覚めていく様子を描く。婚期を迎えた少女を「私の男」の二階堂ふみが、赤紙を免れた隣人を「地獄でなぜ悪い」の長谷川博己が、少女の母親を「ヒマラヤ杉に降る雪」の工藤夕貴が演じる。終戦70周年記念作品。

Myレビュー

節々で感じざるを得ない戦争の異常さ

自分は当時の日本を知らない。
知らないけれど、スクリーンには当時の日本が映し出されていた。
町並みという意味でもそうだけど、二階堂ふみに昭和らしい服装、言葉遣いがあまりにしっくりきていたからだ。
二階堂ふみは比較的破天荒な今時の若い女性を演じることが多いのだが今作のように戦時下で禁欲的な生活を強いられる若き女性も演じられる。
なんと幅の広い女優なのだろう。

この映画は戦争映画であるとともに、女性目線から描かれた”恋愛映画”である。
戦争の描写があまりない(会話や配給制度などの生活ぶりからは伺えるが)ため、むしろ後者の色の方が強い。
生きるか死ぬかしか考えざるを得ないような苦境な時代。
愛も知ることが出来ずに自分の目の前はどんより曇った空が広がる。
そんな中で妻と子供を疎開させている世帯持ちの男性市毛に淡い恋心を抱く。

長谷川博己演じる市毛は徴兵検査で丙種(戦力外)と診断され戦場へは行っていない男。
赤紙を恐れ、終戦間際と確信を得ると天を仰いで喜ぶ。
妻子を持ちながら里子と情事を重ねる。
なかなか情けない駄目な奴なのだが、彼を心の拠り所にしていく里子を思うと彼がいなければ辛い日々を乗り越えることは出来なかったのかもしれない。
終戦を迎えるとともに里子の恋も終わりを迎えてしまう。
どちらにしても辛い状況の彼女に共感し、スクリーンへ惹き込まれた。

家を焼け出され、妹を頼って来た叔母と母親が喧嘩をした際に里子が
「仲良くしましょうよ。いつ死ぬか分からないんだから。」
と平然と口にした台詞が物悲しく、恐ろしかった。